「鷲崎健のロレンチーニ便」第34回

第34回（2020/04/22）

■テーマ「暇」

　ご時世的に家にいる時間が長いため、必然的に色々と本を読んだり楽器に触ったりする時間が増えてきている。

　とはいえこの時間を有効に使って新しい何かを覚えよう！スキルを高めよう！みたいな意識は毛頭なく、どちらかというとできるだけ脳味噌を使わないように、例えば昔読んだ本を読み直したり手癖でギターをポロポロと鳴らしたり。なんだかしっかり立とうと足の裏に力を入れることが精神を少しづつ削り取る行為に近い気がして（個人的に心ケバブと呼んでいますが）、だらだらと無為な毎日を送ることをよしとしている。

　”よしとしている”、なんて書くと大いなる意志のもとレッツ・ユーズレスな生活をせんと日々絶え間ない努力の末掴み取った安寧のようにも聞こえるが、決してそのようなビッグ・トゥモロウ＝明日は今日よりもっと怠惰な俺になるぞ！と意気込んで得た無目的ではなく、たまたま向いていたと言おうか。建設的な行為を何もしないという後ろめたさを「心の死角」に入れることが存外に得意であった。発見である。

　釣り人が竿を垂らしながら、魚を釣ろうとも考えないことによって周りの自然と一体になっていくような。魚そのものになっていくような。その点で言うと暇をつぶすと言うより暇そのものになっていくと言う方が近いか。

　最初は何かこの時間を有効に使おうと考えていた。と言うよりどうせ有効に使ってしまうんだろうな俺は、と未来の自分に期待していた。まずは掃除をして、そして外出できない鬱憤を料理や作曲なんかにぶつけるんだろうな、と。でないと「持て余してしまう」だろうと。

　しかし予想は大きく外れ、大穴であった「何もしない」が他を引き離し今んとこ独走中である。意外だねえ。

　もちろん何もしないとは言いつつも散歩をしたりラジオを聴いたりはしている。
　正確に言うと散歩をしながらラジオを聴いている。できるだけ人通りの少ない道を選んでゆっくりと。何も考えず知ってる誰かや知らない誰かのトークに身を委ねて。つまりいつも通りである。

　いつも通りのルーティンに寄り添っていればまるでいつも通りの日常のよう思えるかと言われればそんなこともないのだが。やはり怖い。抗いようのない恐怖は常に感じている。手が自然とグーになってしまう。けれども。
　なんだろうなあ、やはりスキルアップということにトコトン向いてないんだろうなあ。Twitterの更

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